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マビノギと銀雨と終壊用別館。本館は秘密。 “マビノギ”“シルバーレイン”“エンドブレイカー”でピンと来ない方は回れ右。 ほぼRPです。
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“先日の依頼”については
【≪雑談喫茶~Dream Caf~≫廃校の階段~花壇の怪しいウサギ君~】
をご覧下さいませなの、です。






「ん、きゃ~~~~っ!」

 真夜中に、突如甲高い悲鳴が響き渡った。
 声の主は、自分の声で目が覚めてしまった夢流。
 仰向けのまま放心していた彼女は、胸の上に飛び上がったクランのほっぺぺちぺちで我に返った。
「…………?」
「どうしたのじゃ!」
 隣室から駆けつけた霧歌と、むっくり起き上がった夢流の目が合った。
 胸元に乗っていたクランが転がり落ちる。

「……夢?」
 寝間着用の浴衣を着込んだ霧歌の姿を見上げる夢流の瞳に、少しずつ理解の色彩が顕れた。
 布団を掴む手に段々と力が籠もる。
「きりちゃんがお寝間着だからこっちが現実で……。メーアにやられたの、ですっ!」
 布団をぎゅっと握りしめた夢流の瞳に炎が宿る。
 寝起きに、意識がしっかりしていて、しかも怒っているらしい。
 滅多に見られない光景に、霧歌は少々腰が引けた。

「夢流……ナイトメアに何かされたのかや」
『もきゅ~』
 夢流は虚空を睨んだまま、呪いのように呟いた。
「出たの、です。ウサギのサギが」
「……先日の依頼の、かや?」
『きゅ、きゅきゅ~』
 あの日の泣きそうな顔で帰ってきた夢流は、未だ霧歌の心に印象深く残っている。
 クランも嫌々するように体を揺すると頭(?)を抱えた。

 夢流は、布団の上のクランと戸口の霧歌を順に見ると、
「寝るです」
 短く言い置いて布団を被った。
 またも転がるクラン。
 クランに構わず寝返りを打ち、抱き枕のるんに顔を埋めると三秒と経たずに寝息が聞こえ始めた。

「……わっちらも寝直しんす」
『もきゅ』
 クランが布団の端に潜り込むのを見届け、霧歌はそっと戸を閉めた。










「ボクウサギ君、ヨロシクね」
「って、やっぱりまだ居るのです~~っ!」
 鮮やかな花園で謎のダンスを踊るウサギ君(仮称)を前に、夢流はやっぱり叫んでいた。

「これは夢なの、です。夢……現実ではないの、です。大丈夫、大丈夫……」
 夢流は元々、夢と現実の区別がしっかりしている性質なのである。
 故に、基本的にはナイトメアの悪戯も『夢だから平気なの、です』の一言で切り捨ててしまう。
 いつもならば。
 ただ、今回は現実で酷い目に遭いすぎた為、夢と現実(過去)がごっちゃになってしまったのだ。
 ナイトメアの巧妙な(?)罠だった。

『流石に恐かったろ? 普段ボクの悪夢をバカにするからイケナイのさ』
 余裕に満ちあふれた少年の声が空間に響き渡った。姿を見せるつもり……もとい、ウサギ君(仮称)の前に出現する気は無いらしい。
「メーア……これが誰の夢なのか、思い知らせてあげるの、です」
『やれるものならやってみなよ~』
 “夢流のナイトメア”は、久しぶりに悪夢に落とせた快感に有頂天になっていた。
 普段平気な顔をしている相手を思いっきり怖がらせたのだ。楽しいに決まっている。
 この先どうやって追いつめようかと策を講じる彼は、夢流の思惑に気付いていない……。

「いや~ん恐いの、です~。メーア助けて~なの、です」
『……へ?』
 まるっきり棒読み口調の声に、間抜けな声が返る。
 夢流は、正面で腰を振り振りセクシーダンス(?)を踊る詐欺……もといウサギ君(仮称)を指さすと、気迫の籠もった声で宣言した。
「ナイトメアランページ奥義なの、ですっ!」
『ひっ!!』
 引きつった悲鳴が空間に響き渡った。
『ちょ、ここ夢だよ? ここじゃボク実体……』
「悪夢爆弾なの、です~」
 ナイトメアの言葉を聞き流した夢流が悪夢の塊を投げつける。
 黒い爆風が晴れた花園の真ん中で、ウサギ君(仮称)は可愛らしさをアピールするように丸くなるとすやすやと寝息を立て始めた。
「さあ、ナイトメアランページ奥義なの、ですっ!」
『回避困難付き!?』
 夢流の宣言に悲鳴が続く。

 ここは夢流の夢で、夢流はナイトメア適合者――ナイトメアを束縛する者である。
 普段はどうやって服従させてんのかと思われがちな見た目だが、そこはそれ、彼女も能力者なのである。
「メーアは夢流が好きに決まってるの、です。だから、メーアは夢流を助けてくれるのに決まってるの、です」
 無茶論法である。

『いやだからちょっと……』
「おーるはんでぃっど・がんぱれーどなの、です!」
 全軍抜刀全軍突撃。
 夢流は本気だ。
 あまりの強制力に、彼女の眼前に実体化してしまったナイトメアは、おぞましい物体に尻込みし、すがるように馬首を巡らせた。
『ちょ、待ってって』
「いけ」
 ついに“です”が消えた。
 ナイトメアの背中を冷たい汗が伝い落ちる。

『わ、悪かった、やりすぎた。だからっ』
「メーアは日本語が下手なの……です。こういう時に言う言葉は、なんなのですか?」
 夢流はナイトメアの目を覗き込み、極上の笑みを浮かべた。
 次の瞬間開かれた眼にはナニカ大変なモノが宿っていた。
『ご……ごめんな、さい…………』
 ナイトメアは冷や汗をダラダラと滴らせながら項垂れるように呟いた。
「分かればいいの、です。メーアは聞き分けの良い子なの、です」
 優しい声音に、ほっと安堵の息を吐く。

「ナイトメアランページ奥義なの、です」
 解放されたと思っていたナイトメアは、完全に不意を突かれた。
『ひぃぃぃぃっ!!』
 すやすやとめるひぇんな寝息を立てるウサギ君(仮称)に為す術もなく突撃していく黒い風。
「それはそれ、夢流を虐めたのは事実なので。お仕置きなの、です」
 氷のような言葉に背中を押された黒馬は、ウサギ君(仮称)を踏みつぶし、見事に消滅させたのだった。
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廊下に物が散乱していた。
それは、ゆにっとばすとやらいう風呂場から居間(今風にはリビングとか言うらしい)の方へ、何枚ものタオルやら洗髪用ブラシやら、オマケに大量の水滴……。
多分、移動中に腕からこぼれ落ちたのだろうペット用シャンプーを拾い上げ、霧歌はため息をついた。
普段大人しい同居人は、一体何に夢中になっているんだろうか、と。

 


 

「何しておるのかや?」
「んー…………ぅ」

霧歌がリビングを覗き先客に声を掛けると、先客――夢流は背中越しに生返事を返してきた。
リビングに敷かれたカーペットの少し手前、フローリングをびしょぬれにして座り込んだ彼女は、ドライヤー片手に一心不乱に何かを乾かしていた。
何か……霧歌に思い当たるのはただひとつ。
夢流の相棒、モーラットのクランである。

夢流はドライヤーを脇に置くと、それを抱え上げて嬉しそうに振り向いた。
立ち上がった時、スカートの裾から水滴が滴り落ちたように見えたのだが、本人は全く気にしていないらしい。

「あのねあのね、霧歌ちゃん。クランがね、モーラットピュアに進化したの、です!」

なるほど、確かに昨日まであった額の星模様がハートに変わり、背中に白い羽根が生えている。
前よりふわふわ感が増した彼(?)は、夢流と揃って誇らしげな笑みを浮かべていた。

「それはまあ、うん、おめでとうじゃ。ところでの? 夢流」
「ん……はい? なの」
「濡れた服の上で乾かしても、いつまで経っても乾かんとわっちは思うのじゃがの」
「…………あ」

指摘されて初めて視線を落とす。
濡れた服に座らせていたクランの背中も、もちろんしっかり濡れている。
頭はそれなりに乾いていたのだが……ドライヤーの威力のお陰で。

「はぅぅ、着替えてくるの……ですぅ」

夢流は霧歌にクランを渡し、慌てて自室へ駆けていった。
霧歌はひとつため息つくと、クランを乾いた床に降ろして散乱したタオルを拾い集めに掛かった。

『きゅきゅ~』

ガタゴトという音に霧歌が振り向くと、クランはドライヤーの口をブラシに載せかけ、角度を付けてスイッチを入れた。
ゴーッとはき出される風に背中を向け、自分で続きを始めている。

どこか抜けた主人としっかり者の使役。
それはそれでバランスが取れているのだろうか……。
霧歌は廊下を片づけ、乾いたタオルを手にリビングへ戻りながらそんなことを考えていた。


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